小学校学習指導要領案の中のプログラミングの扱い

小学校学習指導要領案には、いわゆるプログラミング教育に関する記述があるが、よく見ていくといくつかのことがわかる。まず、いわゆるプログラミング教育は、

「プログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」

と定義されている。中央教育審議会の答申で導入された「プログラミング的思考」という用語は使われていない。小学校学習指導要領案の方がより簡潔で、補足説明がなくても意味を理解しやすい。

また、プログラミングに関する学習活動が必修だと解釈できる記述は、第1章 総則の中に1か所だけである。章立てを見ると、「第3 教育課程の実施と学習評価 」の「1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」で、各教科等の指導に当たって配慮するべき7つの項目のうちの3番目にある。この章立てを見ると、プログラミングをさせることは授業改善の一つだと位置づけられている、と読める。そして、その内容を要約すると、

  1. 情報活用能力を育成するために、ICT環境を整えICTを適切に活用した学習活動を充実させること、ICT以外の資料や教材も活用すること
  2. 文字入力などの基本的な操作とプログラミングに関する学習活動を計画的に実施

となる。

第2章以降の各教科に関する記述の中には、理科と総合的な学習の時間で「プログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には…」という書き方になっていて、個別の教科の中でプログラミングを扱うかどうかは現場の裁量に任せられると解釈できる。

 また、案の内容だけからは、どのような授業をつくったらよいかに関するヒントがないため、解説でどのような内容が補足されるか注目される。