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Computing at School

Computing at School (CAS) は、コンピュータ科学の教育を推進しComputingを教える教師をサポートすることを目的にするイギリスの非営利団体である。CASは2008年に Microsoft Research Cambridge の4人の活動から始まった(現在は 2万人以上のメンバーがいる)。基本的に個人メンバーからなる草の根的な団体で、参加費を集めていない。2009年より、CASは British Computer Society (BCS)とパートナーシップ関係を結んでいて、CASの草の根的な活動とBCSの社会的な地位が補完し合う関係になっている。また、CASは BCS以外に MicrosoftGoogleなどの企業からも資金的な援助を受けている。

CAS は、イギリスのナショナルカリキュラムに教科Computingを追加する際に大きな貢献を果たした。カリキュラムの作成にも深くかかわった。当初は、コンピュータ科学を一つの学問として小学校からのカリキュラムに採用させることを目標に掲げ、実際にその目標を果たした後は、そのカリキュラムに基づいて行われる教育が実りの多いものになるように、教師や保護者のためのコミュニティづくり、教材づくりなどに取り組んでいる。

CASのカリキュラム案は、様々なコンピュータ関連分野の中からコンピュータ科学だけに範囲を定めた。Jeanette Wingの提唱したComputational Thinkingのアイデアに影響を受け、コンピュータ・システムの仕組みやその原理と応用のしかたに焦点をあてた。また、コンピュータ科学とプログラミングの関係を、物理の授業と物理実験という例を用いて、制度改革にかかわる人たちにわかりやすく説明した。教科の名前はそれまで ICT だったが、カリキュラムの内容をより正確に表す Computing という名前に変更された。

また、イギリスでは KS4の2年間(14才~16才)で GCSE という卒業に必要な資格をとるための勉強を行うが、GCSE の科目として Computer Science が追加された。

このように、イギリスは小学校1年からコンピュータ科学を中心とする教科を作るという、かなり思い切った改革を成し遂げた。日本の現状を考えると、かなり先に行ってしまったように感じる。イギリスのやり方が本当に正しいのかどうかは、数十年後しかわからないが、日本が将来イギリスがたどった道を追いかけることになるとすると、いくつかのマイルストーンがあることがわかる。

  • CASと同じ役割を果たしうる団体を作る
  • コンピュータ科学に範囲を絞った科目を作る
  • 教科の内容を正しく反映した教科名を付ける(プログラミングではダメ)
  • 入試制度、または資格制度にコンピュータ科学を組み込む
  • 教師の多くが授業を運営できるように、サポート体制を整え、それを改善していく仕組みを作る