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学習指導要領案の公表まで

学習指導要領案ができるまでの経緯を知りたいと思い、内閣府文部科学省のウェブサイトで過去の会議の資料を調べてみた。

第2次安倍内閣は2013年6月に「世界最先端IT国家創造宣言」を閣議決定する。その中で、人材育成のためのさまざまな政策の一つとして、

初等・中等教育段階からプログラミング等のIT教育を推進する

とある。

そして、2016年6月に「日本再興戦略 2016」を閣議決定した。

小学校における体験的に学習する機会の確保、中学校におけるコンテンツに関するプログラミング学習、高等学校における情報科の共通必履修科目化といった、発達の段階に即した必修化を図る。

その目的については、「日本の若者が第4次産業革命時代を生き抜き、主導できるようにするため」とある。ここまでで小学校からのプログラミング教育の必修化という政策の方向性が決まったようだ。

その後、文部科学省中央教育審議会で、小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議の議論をもとに、「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」がまとめられた。いわゆる「プログラミング的思考」は以下のように定義された。

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力

そして、その議論の結果が2016年12月の答申の中に盛り込まれた。 答申では、プログラミング教育を、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる「プログラミング的思考」などを育むものと位置付けている。

2017年2月に学習指導要領案が公表された。プログラミング教育は、情報活用能力を育成するための学習活動の一つとされた。答申の中では「プログラミング的思考を育む」ことが目標として掲げられたが、学習指導要領案ではより簡潔な記述に置き換えられた。また、各教科にプログラミングを取り入れる例が大幅に削られた。これらの変更から、プログラミング教育を推進する動きが少し後退したのではないか、あるいは、このままでは学習指導要領が形骸化し、教育現場にあまり変化が起こらないのではないか、という見方があってもおかしくない。これからの動向を注意して見ていきたい。

学習指導要領や教科書を改訂するだけでは解決しない問題も多いと思われる。今後そうした問題に対しても、いろいろな角度から考えていきたい。